混合ワクチン
ジステンパーやパルボウイルス等の予防を行うための注射です。
当院では5種、7種、10種の3種類を使用しております。
通常の基本ワクチンが5種混合です。7種、10種にはそれぞれレプトスピラ病の血清型が2種、4種含まれてくるという点が主な違いです。
レプトスピラ病は菌に汚染された水や土壌から、粘膜や皮膚を通して、もしくは経口感染する人獣共通感染症で、届出伝染病にも指定されています。汚染源は主にネズミの尿といわれていますが、感染から回復した犬も保菌者になり、数年にわたり排菌し続けることもあるようです。右の図は2004年から2013年にかけてのレプトスピラ病の発生状況(不顕性感染は含みません)ですが、茨城県や千葉県は発生が比較的多い地域であることがわかります。
リスクが高い条件は
・河原や水田付近のお散歩、川遊びへ連れていく
・ドブネズミや野ネズミを見かけることがある
・ドッグラン等での犬同士の交流
また、2024年に更新されたWSAVA(世界小動物獣医師会)のワクチネーションガイドラインでは、レプトスピラ病は発生地域ではコアワクチンに指定されました。
そのため当院では、日常的にお散歩に出るワンちゃんにはレプトスピラ病を含むワクチン接種を推奨しております。
狂犬病ワクチン
法律で3ヶ月齢以上の犬への接種および登録が定められたワクチンです。
自治体が行う集合注射は4月~6月に行われることが多いですが、病院ではいつでも接種することができます。
現在の日本は狂犬病の発生がない清浄地域ですが、世界中では毎年多数の人や動物が狂犬病により命を落としています。混合ワクチンと異なり「現在発生があるから接種するワクチン」ではなく、「侵入・拡散に対して備えるためのワクチン」なので、発生が無くても接種が義務付けられています。
フィラリア予防
当院では5月下旬頃からスタートし、11月下旬(投薬開始時期によっては12月上旬)まで、最低7ヶ月間の予防をおすすめしております。
また、安全に予防を行うためには毎年開始前に血液検査を行うことが推奨されています。(フィラリア陽性の場合、投薬により体調が悪化したり、ショックを起こす危険性があります)
お薬の種類は様々あります。
・毎月1回の飲み薬(このなかには錠剤、粉剤、おやつ状のチュアブル、ノミ・マダニ予防も併せてできるチュアブルがあります)
・効果が1年間持続する注射剤(期間限定)
それぞれ価格も異なったり、メリット・デメリットがありますので、詳しくはご相談下さい。
ノミ・マダニ予防
マダニはお散歩で草むらに入った際に寄生されることが多いようです。公園や道端などごく身近な環境中にも生息していることがあります。
ノミは外出をする同居猫からうつされたり、庭に入ってきた野良猫が落としたノミから感染するパターンもよく見かけます。
ノミもマダニも人が刺されることもあります。人や動物に対して様々な感染症の媒介源になることもあり注意が必要です。
現在注目されているのが、西日本から東日本へ拡大中のマダニ媒介感染症、重症熱性血小板減少症候群(SFTS)です。死亡率は犬で30~40%、猫で60~70%、人で20~30%です。このウイルスは犬猫から人、人から人へも体液や排泄物を介して感染します。2018年から2023年までの6年間で、獣医療関係者だけで11人の感染が報告されています。茨城県では今のところ人や犬猫の感染は確認されていませんが、ウイルス保有マダニは北海道を含めた全国で確認されており、警戒が必要です。
診察の際にマダニ寄生を見かけることが多いのは2月~12月頃ですが、当院でも1月上旬にマダニ寄生を確認したことがあります。ノミは真冬でもよく見かけます。
日々散歩を行うわんちゃんは通年予防を強く推奨致します。
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混合ワクチン
当院では3種混合、5種混合のワクチンを使用しております。
完全室内飼育の猫、かつ同居猫に猫白血病ウイルス感染(FeLV)がない場合は3種混合が基本です。猫伝染性鼻気管炎(FHV)、猫カリシウイルス感染症(FCV)、猫汎白血球減少症(FPV)の予防をします。
屋外へ出る猫でFeLVが陰性の場合、あるいは完全室内飼育でも同居猫がFeLV陽性の場合は5種混合をお勧め致します。これには猫クラミジア感染症の予防も含まれてきます。
FeLVが陽性の猫は屋内・屋外に関わらず3種混合が選択されます。
ワクチンの接種頻度は、その猫の生活環境により異なりますので、詳しくはお問い合わせください。
猫免疫不全ウイルス(FIV)のワクチンは製造が終了してしまったため、現在はワクチンで予防することができません。
フィラリア予防
犬のフィラリア症は猫にも感染することがあります。
血管内での激しい炎症反応により、嘔吐や喘息様症状、急性肺障害、突然死などが現れることがあります。
猫はフィラリアの好適宿主ではないため、体内で成虫にまで成長できるのはごく一部です。しかし、仮に途中で死滅したとしても犬糸状虫随伴呼吸器疾患(HARD)といわれる重篤な症状を引き起こす可能性があります。つまり検査で寄生が確認できなくても症状だけ出すことがあり、完全室内飼育の猫も含め約10%にそのリスクがあるといわれています。また、フィラリアの寄生を何とか乗り切ったあとでも不可逆性・慢性の肺障害が待ち受けており、それに対する有効な治療法もありません。
予防期間は犬と同じですが、猫の場合は毎年の血液検査は必要ありません。ノミ駆除の滴下剤の一部がフィラリアにも有効なためそのお薬で予防します。
ノミ・マダニ予防
猫はマダニ寄生もありますが、ノミの被害がより多く見られます。
主に草むらなどに生息し、真冬の時期は活動が低下するマダニと異なり、ノミは室内や体表面のような温かい環境では年中活発に繁殖します。猫の体に寄生後約10分で吸血を開始し、1~2日後には産卵を開始します。家の中がノミの繁殖場になってしまった際、猫の体表にいる成虫の20倍の卵、幼虫、蛹が環境中に潜んでいるといわれ、完全駆除するためには最低でも3カ月必要です。
もちろん人も刺されたり、強烈な痒みだけでなく、猫ヘモプラズマ症や瓜実条虫など様々な病気の媒介源にもなります。
特に屋外に出る猫は通年での予防が重要です。
また、犬のノミ・マダニ予防の部分で記載したSFTSウイルスは、猫は高感受性で死亡率も非常に高い傾向があるようです。頻度が少なくてもマダニ予防も軽視してはなりません。